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漫画感想 『クジラの子らは砂上に歌う (1)』 梅田阿比(著)

Comic Review

書籍情報

作品名:クジラの子らは砂上に歌う
巻数:1巻
著者:梅田阿比
出版社:秋田書店
発売日: 2013/12/16

泥クジラと呼ばれる巨大船で砂の海を漂いながら一つの共同体(国や村ではなく、自治組織のイメージ)を作り上げて暮らす人々のお話。
船は舵取りも出来ないし生活環境も厳しくはありますが、人々の大きな争い事もなく穏やかな暮らしは楽園のようにも思えます。
しかし、ある日、外の世界の感情のない少女を保護したことでその楽園の崩壊が始まっていきます。

 

遠い異国のお伽噺のよう

「何があってもここであったことを書き続けた」ということから、決して幸せな結末は迎えないだろうことを暗示させていますが、全体として陰鬱な訳ではありません。崩壊していく中にもほのぼのとした日常やボーイミーツガールもあって間違いなくそこで人々が生きていたというお話です。

印象的な絵柄とどこか淡々としたストーリー展開は、童話のようにも神話のようにもみえます。物語は、主人公チャクロの回想をベースにした語り口なのですが、主人公の泥クジラでの役目が記録係だったことからか、思い出を語るというよりまるで遠い世界であった出来事を聞いているようです。それが、切なくもあり、またもの寂しくもあってこの物語に引き込まれていく一つの要素のようにも感じられます。

物語の中で、チャクロの記録を泥クジラの次期首長であるスオウが

君の文章には一切君の感情が書かれていない
それでも実に感傷的だ

という風に評するのですが、この物語の本質の一つをずばり漫画で表現しているのはすごいの一言だと思います。

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和色を使った名前

印象的なのは、泥クジラの人々の名前は全て色の名前なんですよね。しかも和色。

主人公(この物語を回想している人物)は、チャクロ。彼は「茶黒」。
もう一人の主人公(500人足らずの共同体の中でなぜか誰も彼の両親は知らない)は、オウニ。「黄丹」と書くのですが、クチナシとベニバナを重ね染めした色で黄赤色です。私たちに馴染みある色で近い色といえば、赤みが強い橙色ですかね。

他にもベニヒ(紅緋)、タイシャ(代赭)、スオウ(蘇芳)、クチバ(朽葉)と様々な色が登場するわけですが、色名の名前の登場人物が物語で生きることによって白黒の漫画の世界に色彩を与えているように思います。

私は、和色そのものや色名の語感(当てられている漢字なども)や由来を知るのも和色が好きなので特にそう思うのかもしれません。余談ですが、このサイトの「sironeri」は白練色から取っています。それだけ和色が好きなんです。

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