好きなものを好きなだけ

  1. 本に関すること

読了『なぎさ』山本 文緒(著)

【スポンサー リンク】



Book Review

書籍情報

作品名:なぎさ
著者:山本 文緒
単行本: 371ページ
文庫: 385ページ
出版社: 角川書店 (2013/10/19)
出版社: KADOKAWA (2016/6/18) ※文庫版

KADOKAWA(角川書店)の「2016夏の100冊」より、さっそく選んで読みました。
暑いのも寒いのも得意ではない我が侭ボディなので読書が進みます。

読了後にまず思うこと

読み進めるにつれ、だんだんと辛く苦しくなってくるお話でした。
ですが、所さんの懐の深さに救われ、最後に冬乃達が歩みを始めたことでほっとした気分になりました。
※所さん不在の中での冬乃達の成長だけでは、おそらく私の感情は収支マイナスでした。

上手く言えませんが、膿んでいくのにほっておいた傷に針で突いて穴をあけ、痛みに耐えながらどろりとした膿を出し消毒したような気分です。消毒した傷は、ひりひりと痛いですがどことなく安心できるそんな読了感といえば良いでしょうか。

【スポンサー リンク】



家族は良薬であるために猛毒にもなり得る

薬は使い方を間違うと毒になりますが、それは家族にも当てはまるなと考えさせられたお話でした。
依存しすぎたり、囚われたり、どこかで何かを間違うと、言い方は悪いですがそれはもう害悪にしかならないんですよね。

主人公である冬乃は結婚によって実は家族という毒が自分に既に回りきって麻痺していたことや夫である佐々井君にまでその毒が回り始めていることに気が付いてしまいました。
対して、物語冒頭の家族で海に出かけた思い出を冬乃が回想しているシーンが印象的です。
この楽しかった思い出を鮮明に覚えているあたりが家族を大切だと思っている冬乃の気持ちを表しているのではないかと思っています。
ですから家族を切り捨てることも出来ず、中途半端にただ物理的に逃げることしか出来なかった冬乃や同じく両親という柵から逃げるために転々と引っ越しを繰り返すのにどうしてだか毎回住所を教えてしまう冬乃の妹である菫の気持ちが痛いです。

それでも最後には、夫である佐々井君と向き合い、逃げていた自分の両親へ対峙する。
冬乃と佐々井君夫婦には、ぜひ幸せになって欲しいです。

その他の登場人物について

菫についてですが当初、自分勝手な妹と思いながら読んでいました。けれど彼女もまた家族にもがいてもがいて苦しんでいたと思うとその自分勝手さについても少し溜飲が下がる思いです。
最後に姉妹の絆も途切れることがなくて冬乃にとってというより菫にとって良かったなと思います。

冬乃の夫である佐々井君の感情があまり描写されていないのは、物語の視点が冬乃と川崎君だということと佐々井君の性格・仕事で心身削られていた結果なのでしょうが、そこが却って冬乃と佐々井君夫婦のお互いのすれ違っていた部分を表現していたのかなと勝手に訳知り顔で考えています。

もう一人の主人公である川崎君には、本当に大人になって欲しいです。
この一言に尽きます。彼の身に降りかかる出来事は、殆ど身勝手な行動による自業自得なんですから。
でも、このお話の中の川崎君の未熟さは成長の余地がありますので可愛い方だと思います。

モリという「よくない男」

モリの最後まで得体のしれない感じが空恐ろしかったです。

冬乃達の前に登場した時こそ、捉えどころのない彼は冬乃達の成長の促す起爆剤のようなキーパーソンなのかと考えていました。
確かに重要人物には間違いなかったのですが、良い影響を与えるというよりもじわりじわりと浸食してくる感じがなんとも不気味でした。けれど、浸食してくるくせになんとも渇いた印象を受けます。
「あれはよくない男だ」と所さんが評しているように、人の弱い所を目ざとく見つけて入り込みそして奪っていく彼にはいつか相応の報いを受ければいいと思ったのですが彼にしても何かを抱えていたのでしょうか。

バックボーンの不明な彼についてあれこれ考え始めるときりがありませんが、もしかすると既に一度奪われた側だからこその行動だとしたらそれはとても寂しい生き方に思います。ひとところに留まらず奪いつくしたらまた次の居場所を探していくような彼の生き方は、やはり何かに縛られてしまっているんだろうなと思わずにはいられません。

「でもきっと人はああいうのに弱いんだ。」と所さんが評したように私も、モリにいつの間にかたらしこまれている気になって仕方ありません。

【スポンサー リンク】



ランキングに参加しています。
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

本に関することの最近記事

  1. 読了『ペンギン・ハイウェイ』 森見 登美彦 (著)

  2. 漫画感想『メタモルフォーゼの縁側』 鶴谷 香央理 (著)

  3. 漫画感想『カワイイ私の作り方(1)』 六多いくみ(著)

  4. 読了『おべんとうの時間』 (1) 阿部 了 (写真),阿部 直美 (文)

  5. 漫画感想『こうふく画報』長田 佳奈(著)

関連記事

スポンサーリンク




カテゴリー

カレンダー

2018年12月
« 11月    
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

参加ランキング

にほんブログ村 ライフスタイルブログ 二人暮らしへ
にほんブログ村 漫画ブログ 漫画感想へ
にほんブログ村 美容ブログへ

PAGE TOP