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  1. 本に関すること

再読了 『島はぼくらと』 辻村 深月(著)

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Book Review

書籍情報

作品名: 島はぼくらと
著者: 辻村 深月
単行本: 338ページ
文庫 : 432ページ
出版社: 講談社 (2013/6/5)
講談社 (2016/7/15) ※文庫版

あらすじなど

この本は、数年前に刊行されたと記憶にありましたから「どうして今頃(2016/7/21頃)、最新刊のコーナーに平積みされているのかな」と不思議に思っていたのですが、文庫本が新しく発売されたんですね。

なるほどなるほど。

久しぶりに読み返してみて、改めて思いました。
これは、これから将来の岐路に立たなければならない学生さんにぜひ読んでもらいたいです。

ストーリーとしては、有体に言うと瀬戸内海に浮かぶ島、冴島からフェリーで高校に通う同級生4人の高校生たちの青春群像劇です。
彼らの過ごす日々を通して、島での日常、大人の世界への希望と現実、幼馴染への淡い恋、そして徐々に近づく将来の岐路が丁寧に描かれています。
温かくて優しくて少し切ない話です。

※単行本が、2013年に既に発売されているため、以下がっつりネタバレしています。

衣花に共感

4人の高校生が物語の中心にいるわけですが、どの子にも共感できる話は割と少ないように思います。
正直、この一冊で延々と感想を書ける気がするのですが、今回は4人の中で一番好きな衣花に絞ってみました。

衣花は、賢いが故にどこか醒めている性格や物語序盤(他の三人にフォーカスされていたため)では影が薄いので、実はそんなに好きではないというか気に留めていませんでした。
しかし、物語が進む=彼女たちの卒業が近づくにつれて、4人のうち自分一人島へと残る現実に彼女の積もっていく寂しさとその寂しさがついに溢れてしまって3人に話す場面がとても切なく共感していることに気が付きました。

4人は皆、小さなころから「自分たちは大きくなれば島を離れるけれど、彼女は島からは離れられない(※)」ことをそういうものと受け入れて育っています。

※離れられないと書くと、ファンタジーでありがちな宗教的なシンボリックな存在のような印象を受けてしまうかもしれませんがそうではありません。
衣花の家は「網元」と呼ばれる非常に重要な家柄であり、そういった意味で島の一つのシンボリックな存在であることは間違いないのですが、一歩も外に出られないという訳ではなく、その跡取り娘である彼女は島の外に進学・就職することはできないということです。

またそもそも衣花自身が自分が島へ残ることについて何の不満も持っていませんし、むしろ島のことを大事に思っています。

この「島が大事」だと思う衣花に『醒めているのに島が好きなんて、全然醒めていないじゃな!』なんて一瞬でも思った私は想像力が欠けているなと、ちょっと自分が恥ずかしくなりました。

醒めていようがいまいが、大事なものを思うのには関係ないですよね。

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「忘れられてしまうかもしれない」という不安

「島の外に出たいわけではない」けれど一人だけ残る「寂しい」気持ちはまた別物です。
賢い彼女は、友達と進む道がばらばらになるのは自分にも友達にもそれぞれの人生があるのだから仕方ないし、言い方は古いですが、進路の違いがそのまま今生の別れでもないと頭の中では分かっています。

でも、心が付いてきてくれない。

それはひとえに「新しい世界に進む幼馴染が自分を忘れてしまうのではないか」という思いがあるからではないでしょうか。
この物語は舞台が島という狭い世界であり、かつ同級生は4人しかいない。必然的に小さな頃からずっと一緒だった幼馴染たちは衣花以外皆、揃って島を出ていく。
疎外感というと少し言葉が強くなってしまいますが、ただ自分一人だけひとところに留まることへの寂しさや不安、孤独感が募っていったんでしょうね。
そんな衣花の溢れ出た寂しさを掬ってくれる新(主人公の一人)がいてくれて本当に良かった。
殆どプロポーズでしたが、指摘されるまでそれに気が付いていなかった新が微笑ましい。

「私はここで、生きていく」

現実だとこう上手く展開される訳ではないですが、物語ですもの。
この物語のラストがとても好きです。

 

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