本に関すること

読了 『カフカ寓話集』 フランツ・カフカ(著),池内 紀 (翻訳)

Book Review

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書籍情報

作品名:カフカ寓話集
著者:フランツ・カフカ (著),池内 紀 (翻訳)
単行本: 243ページ
出版社: 岩波書店 (1998/1/16)

実は少し苦手な作者でした

フランツ・カフカの作品はあの有名な『変身』しか読んだことがありませんでした。

というのも『変身』を読んだのは小・中学生頃でしたが、その主人公グレゴールに対する何とも救いのない結末が、当時、物語に求めていた「辛く苦しくても最後は幸せになる(そして、悪いことをしたら必ず報いが来る)」という姿ではなかったのでこの話の結末にとても衝撃的を受け、そこで形作られた苦手意識からこれまで意識的に避けていました。

今でこそ、この後味が悪い作品の深さというか意図(読み手が解釈するわけですが)というものがなんとなく分かってきたような気がします。

後味がいつまでも続く

そもそも読んでから十数年も後味が残る作品って一体どれだけ存在しているのでしょうか。

読書中また読了後は心に響く作品は多いですが、それからしばらく時間が経つとあるいは次の本を読むとだんだんとそんな心の震えは忘れていくことが多いように思います。

この本を読もうと思ったのは、ネットニュースに同本に収められている『ある学会報告』が取り上げられていたことがきっかけです。きっかけとなったニュース自体の内容は忘れてしまいましたが、あれから十数年がたち、ふと今度は後味の悪さ以外の何かを得ることが出来るかもと思い立ち手に取りました。

この本は、短いもので文庫本1ページ、長いものでも数十ページの短編集です。掲載順ではなく、ぱらぱらとページをめくり短いものから読んでいきました。こうすれば途中であのどうしようもない遣る瀬無さが襲ってきたとしても、簡単に逃げられるからです。

ままならない世界は何処のこと?

カフカの書くお話は、突然始まってぶつっと唐突に終わるそんな印象を受けます。そして、根底にあるのはいずれも「ままならない世界」を書いているということでしょうか。

私は先に挙げた『ある学会報告』よりも『ポセイドン』の話が印象深かったです。
ほんの数ページの話で、10分くらいあれば何回も読み返せるくらいの短い話です。

あらすじとしては、海を治めるために激務に追われデスクワークに励む海神ポセイドンの話。
忙しさのあまり自分の治める世界をゆっくりみたこともないとはなんともままならずに過ごしているのか。

人が主人公でなくファンタジーな世界なのにこの状況はなんと現実的でシニカルな事かと、にやりと笑ってしまいました。

 

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